米国でビジネスを始めるには?: E-2 [ 条約投資家ビザ ]
米国にて、ビジネスを始める場合のビザについてよくご質問がありますが、起業する事で申請できるビザと一概に述べても E-1 [ 条約貿易業者ビザ ] 、EB-5 [ 高額投資家ビザ (永住権) ] 、E-2 [ 条約投資家ビザ ] など様々な種類があります。
今回は、その中でも一般的によく用いられている E-2 [ 条約投資家ビザ ] についてご説明いたします。
投資家 E-2 ビザについて
E-2 [ 条約投資家ビザ ] とは、米国に会社を設立、経営していく上で米国在住・労働が必須な個人の為に発行されるビザです。 一般的に「投資家ビザ」と聞くと、多くの方が E-2 ビザ申請の際には必ず最低でも数十万ドルの高額な投資を行う必要があると思われがちです。 しかし、E-2 [ 条約投資家ビザ ] の場合、米移民法上明確な 「最低投資金額」 は設定されていませんが、「相当額を投資する」 という規定がございます。
E-2 ビザの利点は条約投資家としての条件を満たし続けた場合、半永久的にビザの更新 (2~5年単位) をする事が可能な為、米国にて長期的な滞在を希望する個人に最も適しているビザの一つです。
「最低投資金額」 と 「相当額」 の違い
E-2 ビザを申請する際に必要な先行投資金額はビジネスの種類や事業規模 ・ 内容により大きな差があります。 設立する会社の業種や企業の形態ごとに異なる 『先行投資相当額』 を統計からしっかりと算出し、的確な判断の基に十分な先行投資を行う必要があります。 例え個人が数十万ドルの高額先行投資を行ったとしても、その投資金額が 「相当額」 に満ちていない場合は E-2 [ 条約投資家ビザ ] は却下されてしまいます。 逆に、数万ドルの少額先行投資でも、「相当額」 を満たしていれば E-2 [ 条約投資家ビザ ] は取得可能です。
もちろん、一般論として投資金額が大きい方がビザ取得を有利にする事は確かですが、『最低数十万ドル』 の高額先行投資が必須、『数万ドル』 の少額先行投資では E-2 [ 条約投資家ビザ ] が取れないというのは事実ではありません。
E-2 ビザ申請条件・規定
E-2 条約投資家としてビザ申請を行う場合も複数の条件がありますが、その中でも申請者が条約に基づいた投資を行った事、又はビザ申請時点で投資を行っている事が最大の条件です。 E-2 ビザの申請条件を満たしているか否かは以下の6つの要素から判断されます。
1. 所有権と主導権
所得権と主導権とは、ビザ申請者が投資を行った結果、投資事業や物件をその個人が所有し、投資、経営に関する主導権をしっかり保持している事を証明する事です。 また、投資資金として使用された金銭が合法的 (収入、貯金、贈与、遺産相続など) に得た物である事を証明する必要があります。
2. 投資のリスク
E-2 ビザを申請するにあたり申請者個人は実際にリスクを伴う先行投資を行う必要があります。 リスクを伴う投資とは、ビザ申請が却下されたり、投資が失敗する等、予期せぬ事態が発生した場合、投資に費やした先行投資資金や購入済みの物件や機材などを失う又は無駄にする可能性がある事です。 申請者の中には投資金損失やダメージを抑えるため、海外送金のみを行ったり、先行投資をほとんど行わずに申請を希望される方もいらっしゃいます。 しかしその場合、「リスクを伴った投資」 という申請条件を満たしていないと判断され、ビザ申請が却下される場合がありますので注意が必要です。
3. 先行投資資金の使い道
米移民局が認める先行投資資金の使い道には、店舗契約、家賃支払い、在庫購入、機材購入、内装・改装工事費用、事務用品購入、特許取得、商標登録、知的財産などがあります。 また、その他にも申請者が単に米国銀行口座に送金しただけではなく、実際にその投資資金がビジネス設立、営業に向けて使用されていたのかなど米移民局は事実確認を怠りません。 E-2 [ 条約投資家ビザ ] を申請する場合、必ずレシートや注文書・領収書を保管する必要があります。
4. 投資額
上記でも述べましたように、E-2 ビザの投資金額は事業内容や規模により大きな差があります (例 : 小規模ネイルサロン vs. 1000sqf. レストラン vs. 高層ビルの建設事業)。 米移民局は事業内容や規模ごとに平均投資額を算出し、それに基づいて 「相当額」 を決定しています。 その為、ビザ申請前に平均投資額に関するアドバンスリサーチをしっかり行い、申請者の予算に適した事業内容や規模を選択する事がビザ取得確率を最大限に引き上げるために重要なポイントの一つです。
5. 事業成功の見通し
E-2 ビザ申請を行う際、開始する事業が成功する見込みがある事を証明する必要があります。 具体的な内容としては最低限、投資家とその扶養家族を養う事ができる程度の収益を上げる事が絶対条件です。 そして事業開始から未来5年間のビジネスプランの作成と提出が義務付けられています。 また、E-2ビザ申請は、ビジネスプランの出来具合により取得の確立に差が出る為、新事業が有望である事をしっかりと説明した資料を作成する事が必須条件です。
6. ビザ申請者の権力と権限
E ビザを申請するには、申請者が会社の50%以上の株を保持する筆頭株主であり 、資金の運用や会社経営などビジネス全般に関する決定権、主導権保持者である必要があります。
上記以外にも E-2 ビザ申請には、企業登録証明書、営業許可証・販売許可証、店舗の写真、在庫や機材の写真、ホームページ、営業関連書類 (レストランの場合メニューやクーポン券) などビジネスを開始する為に準備を行っている事を証明する様々なサポート資料の提出が必要です。
注意事項 : コラム内で提供しているビザ・移民法に関する情報は一般的な情報であり、個人の状況や背景により異なる場合がございます。 的確な情報詳細につきましては、移民法専門の弁護士にお問い合わせください。